入賞作品

第1回 : 市街地に建つメンバーズ・スポーツクラブ

現在、日本の都市は、世界に比類のないほど高度に情報化し、アメニティの高いものになろうとしている。しかしその一方で、偏重した過密化や基盤整備の立ち遅れが指摘されているという面もある。

成熟化社会を迎えようとしている今日、ハードとソフト両面から、質の高い都市づくりがなされなければならないのである。

とくに四季の豊かな日本では、1年を通して半分ぐらいは自然環境との共生が可能である。頑なな防御の姿勢をときほぐし、風と生きる建築を考えてもよいのではないか。それは決して無防備になることではない。さらに進んだ知恵と技術で、エネルギーミニマムの方法を構築することである。それは風を生かした建築作法といえるであろう。

そしてこれからの都市づくりは、地球的資源やエネルギーを無駄なく使う視座を持つ必要がある。浪費に支えられた豊かさは長続きするものではなく、精神的荒廃すらもたらすものだからである。人間・技術・経済三者のバランスのとれた最適環境が求められなければならないといえよう。

今日の都市には、さまざまなつながりでのコミュニティが存在している。近隣関係のコミュニティだけではなく、学校、職業、趣味など多重層のコミュニティがあり、それらに選択的に参加できることが都市の魅力となっている。その選択肢が豊富であることが、これからの都市の条件となるのである。

「市街地に建つメンバーズ・スポーツクラブ」は、そうした、これからの都市環境に寄与する施設の一つとして考えたい。そこでは単にスポーツの技を磨くだけでなく、体力増進、健康維持、そして会員同士のファミリアな付き合いなどが、その重要な機能となる。コミュニティの核としての役割がそこに付与されるからである。

またそのためには、トレーニングルーム、プール、エアロビクス教室、スカッシュコート、屋内ジョギングコースなどといったスポーツ用施設だけでなく、メンバーズ・サロン、レストラン、バー、クリニックなどの諸施設も必要となる。さらにこうした複合機能を持つ施設が、エネルギー的にも無駄なく運営されていくためには、設備計画の配慮が大切である。ハイブリッド・エネルギー・システムなど、それぞれの目的に最適なエネルギー・システムを組み合わせることを考えてほしい。

ただしここでは、その詳細までは求めない。敷地条件、内容、規模、構造などは応募者の自由想定によるものとする。設備計画は、基本的考え方と簡単なシステム図を表示されたい。そのためにも、建築設計者と設備設計者の協同により応募案が作成されることが望ましいといえよう。

優れた環境設備計画に支えられた豊かなデザイン的発想の提案を期待している。

審査委員

審査委員長
内田祥哉(東京大学名誉教授・明治大学教授)
審査委員
石福 昭(宇都宮大学教授)
伊東豊雄(伊東豊雄建築設計事務所所長)
阪田誠造(坂倉建築研究所所長)
松尾 陽(東京大学教授)
柳澤孝彦(TAK建築都市計画研究所代表)
秋山哲郎(東京ガス取締役・特需営業部長)
コーディネーター
馬場璋造(株式会社新建築社 編集担当役員)
審査委員紹介

(敬称略)

※こちらのページに表記されている各委員の所属・役職は当時のものになります。

最優秀賞(1作品)

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森村武雄

優秀賞(3作品)

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    佐藤卓司、植村和文、武田有砂、寺島和彦、永田敬雄、松原茂高、佐藤文秋、杉浦康久、蓬莱一夫

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    服部紀和、橋本博、帽田秀樹、杉鉄也、豊村博、江波戸宏、河野美雄、小笹徹、宮崎豊、児玉裕司

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    田所辰之助

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