入賞作品

第8回 : コミュニティ銭湯

わが国において銭湯は、江戸時代から明治・大正を経て第二次世界大戦前まで、地縁社会のコミュニティセンター的役割を果たしていた。共同浴場としての社会的機能を担うだけではなく、毎日その地域の人びとが集まることによって、情報交換の場ともなっていたのである。しかし戦後は持ち家制度の促進や生活の近代化の名のもとに浴室の家庭化が進み、銭湯は衰退の途をたどった。そして一方、コミュニティセンターと名づけられた施設が各地域につくられるようになったが、銭湯でのような活気はそこには再現しなかった。大都市における社会の急激な変化が、地縁社会のあり方を変質させてしまったからである。

そして今日、違った面から銭湯の復活の試みが見られるようになってきた。家庭では装備できないようなサウナ、ジャクジー、薬草湯などを備えることにより、リラクゼーションの場として注目されるようになってきたのである。
今回の課題「コミュニティ銭湯」では、そうした状況をさらに先取りし、人びとが気軽に毎日でも楽しみに集まってくることのできる新しいコミュニティ施設となる銭湯の提案を求めるものである。

テレビ・ビデオルーム、レストランやカフェテリア、エアロビクスやヘルスケアのコーナー、パソコンルームなど、さまざまな機能の複合が考えられるであろう。それは現在の銭湯の改修や建て替えなどであってもよいし、再開発されたビルの一部や屋上に設置されることもありえよう。あるいは地域のゴミ焼却処理熱を利用した施設であってもよい。ただいずれも、新しい活気あるコミュニティづくりに寄与するものでありたい。またそのコミュニティも、かつてのような地縁社会のものだけとは限らない。職域社会のコミュニティもあれば、多少の距離はいとわず集まってくる同好の士でつくられるコミュニティもあろう。コミュニティ銭湯はそのいずれにも立地しうる。そしてこの施設には当然、二十四時間対応に近い設備的要求がなされるであろう。そうした設備面においても、エネルギーを有効に利用する先進的な考え方を求めたい。より豊かで楽しい明日の社会に寄与するコミュニティ銭湯のあり方の提案と、それに基づく素晴らしいデザインが寄せられることを期待している。

審査委員

審査委員長
内井昭蔵(京都大学教授)
審査委員
尾島俊雄(早稲田大学教授)
櫻井 清(久米設計社長)
長谷川逸子(長谷川逸子・建築計画工房代表)
松尾 陽(東京大学教授)
山下和正(山下和正建築研究所代表)
鈴木正之(東京ガス都市エネルギー事業部長)
コーディネーター
馬場璋造(建築情報システム研究所代表)
審査委員紹介

(敬称略)

※こちらのページに表記されている各委員の所属・役職は当時のものになります。

最優秀賞(1作品)

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恩田博、堀口譲司、楠貴雄、馬郡文平、鶴巻昭秀、島松秀樹、小宮山幸、鈴木雅登

優秀賞(3作品)

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    増田尚久、三輪淳彦、疋田昌之、並木裕、長谷川隆、冨田明代、吉田朋子

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    成瀬功、河合純、繩田浩、笠原健蔵、秋山昌幸

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    古川真、石津孝夫、室淳二郎、福原恒雄、板倉恵子

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