入賞作品

第9回 : 「設備」を可視化した建築

マルチメディア時代に向かって公共サービスのあり方が問われようとしている。現在、都市の中にはさまざまな公共サービス施設があるが、一ヵ所ですベての用が済むような施設はない。マルチメディアが普及すれば、現在出向かなければならない用事のかなりの部分が在宅のまま済ますことができる。しかしそうなればなお、そのフォロー・アップが必要になり、その業務も出てくる。そしてフェース・トゥ・フェースがより重要になってもこよう。パブリック・サービス・プレイスは単に公的機関のサービス窓口の集合だけではなく、気軽に何でも相談できるコーナーがあったり、憩いの場や楽しい飲食施設などもそこに設えられることが必要ではなかろうか。ここでは二十四時間体制も可能な運営システムが求められるであろう。パブリック・サービス・プレイスは、建築的施設だけでなくプラザも構成要素に含まれ、祭りや朝市、バザール、まちの野外音楽会や演劇会などが行われるようになるに違いない。そして災害時には一転して、日頃のつながりを生かした防災と救護活動の拠点となり、情報交換の場ともなる。

また、これからの時代、パブリック・サービスといっても公共の役割だけでなく、ボランティアやNGO(非政府組織)の働きが大きな要素となってくるであろう。さまざまな経験を役立ててのそうした活動は、地域の安全と活性化や社会福祉の向上に欠かせないものとなってくる。とくに災害時など、その果たす役割が大きいのは記憶に新しいところである。ここはそうした民間活動の非日常・日常を超えた拠点ともなる。

今回の課題である「パブリック・サービス・プレイス」は、その地域におけるパブリック・サービスに関するマルチメディア時代の受発信の基地であると同時に、公共・民間が一体となった、さまざまな社会的活動の根拠地である。いってみれば、まちと社会の新しい時代に向かっての再構築の先兵の役割を、このパブリック・サービス・プレイスは担っていくべきものである。またそうした役割を十分に果たしうる設備的機能についての考案も求めたい。

次の世紀を見据え、専門家としての予見を生かした「パブリック・サービス・プレイス」のあるべき姿を提案してもらいたい。

審査委員

審査委員長
内井昭蔵(京都大学教授)
審査委員
香山壽夫(東京大学教授)
田中俊六(東海大学教授)
内藤徹男(日本設計社長)
長谷川逸子(長谷川逸子・建築計画工房代表)
松尾 陽(東京大学教授)
鈴木正之(東京ガス取締役・都市エネルギー事業部長)
コーディネーター
馬場璋造(建築情報システム研究所代表)
審査委員紹介

(敬称略)

※こちらのページに表記されている各委員の所属・役職は当時のものになります。

最優秀賞(1作品)

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小林忠夫、定松聡、大西美典、小林瑞枝、河野美雄、田中宏治

優秀賞(3作品)

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    池田靖史、國分昭子、門脇直樹、村田博道

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    弘本真一、後藤幸三、葛岡典雄、森島清太

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    三好誠人、清水誠一郎、青木大輔、室園一彦、吉村信一、河相弘二、清水麻紀子

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