入賞作品

第10回 : 東京湾内のエコシティ

江戸・東京は本来、東京湾縁の低湿地帯をたくみに利用して成長してきたエコロジカルな都市であった。しかし戦後、とくに高度経済成長期以降は、臨海工業地帯拡張のための埋め立てや、産業や生活廃棄物の投棄場所として、自然環境のエコロジカルな視点を持つことなく、産業発展のためにのみ使われてきたといってよい。東京湾に流れ込む隅田川などの河川もまた、高度成長の速さに排水浄化設備の増強が追いつかず、長い間汚水による汚染が続いてきた。その結果、東京湾は極度に疲弊した。
現在、その反省の上に立って、周辺都市と東京湾との新しい関係が模索されつつある。東京、横浜、川崎、千葉といった大都市に囲まれる東京湾が自然環境として再生されるところに、二十一世紀のより豊かな東京湾とそれを囲む都市群との望ましい姿があると考えられるようになったからである。 今回の課題「東京湾内のエコシティ」は、それ自体これからの時代に求められる都市施設であると同時に、そうした東京湾の自然環境の再生に積極的に寄与するためのエコシステムに立脚した計画として考えてほしい。敷地の設定は東京湾内であれば、臨海部であっても、人工島であってもよい。また用途はフォーリン・アクセス・ゾーン(FAZ)、テーマパーク、リゾート基地、住宅地など、応募者が魅力と可能性を感じるものを自由に想定してよい。規模も自由である。しかしいずれの場所、いずれの用途にしても、エコロジーの視点は十分に配慮してもらいたい。そして現在ある自然環境の保全に加えて、海水の浄化を含め自然環境の再生拡大を積極的に進める工夫を問いたい。
ここで望まれる人工環境は、自然環境と敵対するものではなく、自然環境の保全と育成を支援する役割までを果たす機能を持った人工環境である。当然、その人工環境は全体としてエネルギー的合理性を持つものであり、廃棄物の処理に関しても負荷を周囲に及ぼすことなく独立系で処理されることを求めたい。人間と環境との関係をあらゆる視点から見直した「東京湾内のエコシティ」について、実りある提案を期待している。

審査委員

審査委員長
黒川紀章(黒川紀章建築都市設計事務所代表)
審査委員
石山修武(早稲田大学教授)
香山壽夫(東京大学教授)
田中俊六(東海大学教授)
内藤徹男(日本設計社長)
中島康孝(工学院大学教授)
北川三郎(東京ガス取締役・都市エネルギー事業部長)
コーディネーター
馬場璋造(建築情報システム研究所代表)
審査委員紹介

(敬称略)

※こちらのページに表記されている各委員の所属・役職は当時のものになります。

最優秀賞(1作品)

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葛西秀樹、古場隆之、佃慶一、梶原哲
[協力]穴田優子、宮澤弘充、高木貴裕

優秀賞(3作品)

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    長谷川昌之、寺島由希子

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    酒向昇、馬郡文平、岡部淳一、平田淳、土肥博文

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    繩田浩、岡康弘、岡田幸宏、村島大輔、田中真也、桜井徹

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