入賞作品

第12回 : 都市の部屋

機能分化が進んできた近代都市は、それ故に制度疲労の危機に瀕している。それぞれの都市施設は立派になっているが、そこに生活する立場からみると、かえって使い勝手が悪くなってきていることが多いのではなかろうか。肥大化し、精緻になり過ぎた都市制度は、生活者の視点から再編されなければならない。それはまた、都市のアメニティをより豊かにすることと軌を一にすることであろう。
「都市の部屋」は、そうした新しい郡市への要望を担う都市施設である。そこへ行けば大抵の用事は一度で済む。各種公共施設の窓口もあれば、老齢者や幼児のための簡単な診療所や溜まり場、ボランティア・センターもある。本屋やショッピング、それにちょっとしゃれたカフェテラスやレストラン、ファストフードの店、市民ギャラリーなどもあるだろう。またそのまちに関するさまざまな情報や、行楽、旅の情報などもそこで知ることができる。とくに用事がなくとも、そこに行けば何かがある。何かと出会えるという都市的魅力を秘めた空間である。それだけに既存の建築のタイプとは異なったデザインが立ち現れることを望むと同時に、その新しい都市施設に相応しい設備環境づくりや、地球温暖化ヘの視座が配慮されることを求めたい。
「都市の部屋」が必要なのは、なにも大都市に限らない。いや、小さなまちほど、規模は小さくともその役割は大きいかもしれない。そのまちの歴史を伝える古い建築が「都市の部屋」として甦ることもあろう。都市が疲弊し、過密と過疎が併存し始めている現在、都市の新たなる再生をめざし、新しい時代の環境への提案を含めて、「都市の部屋」のあるべき姿が提示されることを期待している。

審査委員

審査委員長
岡田新一(岡田新一設計事務所代表)
審査委員
石野久彌(東京都立大学教授)
大野秀敏(東京大学助教授)
隈 研吾(隈研吾建築都市設計事務所代表)
小玉祐一郎(神戸芸術工科大学教授)
中園正樹(松田平田社長)
長屋 勝(東京ガス理事・都市エネルギー事業部長)
コーディネーター
馬場璋造(建築情報システム研究所代表)
審査委員紹介

(敬称略)

※こちらのページに表記されている各委員の所属・役職は当時のものになります。

最優秀賞(1作品)

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新井健太、徳野博子、大島友延

優秀賞(3作品)