入賞作品

第13回 : 新世代の美術館

かつて美術館は貴族の館のギャラリーから始まった。館を飾っていた絵画や彫刻は、近代の成立とともに建築から独立し、純粋美術=ファイン・アートとして独自の展開をみせるようになった。それら美術を展示したのが、貴族の館の広間=サロンや回廊=ギャラリーであった。転用の美術館である。
やがて一般市民の美術鑑賞が普及すると、美術を相応しい環境で鑑賞することを目的とした専用の建築がつくられるようになった。それが美術館で、十九世紀初頭のことである。それ以来、美術館は社会の代表的文化施設となった。
そして現代、ファイン・アートが隆盛を極める一方で、都市や建築との関係を再構築しようという動きも出始めてきた。絵画が額縁を捨て、彫刻が台座から降りて、美術館からまちに出ていくようになったのである。加えて、絵画、彫刻といった枠組みを超えた立体造形、インスタレーションなどが出現してきた。なおそれに、光や音の相乗効果までを採り入れて人間の全感性に訴えかける創作活動の台頭も見逃せない。しかしそれで美術館が終わろうとしているのではない。人間文化を担う美術館の役割は、ますます重要なものとなってきている。歴史的な美術品を整った人工環境のもとで鑑賞させると同時に、人間環境を豊かにする新しい美術活動の拠点としての美術館のあり方が、問われているのである。
こうした、新時代のアートにも対応しうる美術館のあり方が、いままでとは異なった視座から求められている。それは社会に開かれていることが必須である。あるいは美術館自体が解体してまちへ出ていくのも、一つのあり方かもしれない。情報化時代への対応も重要な課題である。新世代の美術館は、新しい動向をとらえ、それらを積極的に支援する拠点となり、文化発信のための新しい施設とならなければならないのである。
新しい文化施設としての「新世代の美術館」のためには、それに相応しい環境と設備のあり方が求められている。いままでの美術館支援の設備システムを超え、新時代を模索する美術活動のさまざまな要求に応えるとともに、環境保全の視点をも組み込んだ工夫がなされなければならない。
パラダイム・シフトした「新世代の美術館」への創意ある提案を期待している。

審査委員

審査委員長
岡田新一(岡田新一設計事務所代表)
審査委員
石野久彌(東京都立大学教授)
岡 建雄(宇都宮大学大学院教授)
隈 研吾(隈研吾建築都市設計事務所代表)
栗生 明(千葉大学教授)
柴田寛二(山下設計社長)
長屋 勝(東京ガス理事・都市エネルギー事業部長)
コーディネーター
馬場璋造(建築情報システム研究所代表)
審査委員紹介

(敬称略)

※こちらのページに表記されている各委員の所属・役職は当時のものになります。

最優秀賞(1作品)

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鳥巣良太、山本典弘、小林大

優秀賞(3作品)

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    大島友延、笹井敦史、村瀬宏典

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    岡村吉展、橋本廉太郎、榊枝慶一
    [協力]山本陽一、榎本拓幸、水谷理人

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    星野時彦、吉田謙一、大橋清文、太田浩司、山崎公義、松岡良樹、小川一人、土田耕太郎

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