入賞作品

第18回 : 甦る現代の横丁

かつてのまちには横丁が存在した。表通りに立ち並ぶ大店とは違い、日常生活の懐かしい匂いと温かみのある活気がそこにはあった。コミュニティが巧まずしてつくられていたのである。横丁はまちの「ハレ」の場に対して、日常的な「ケ」の場であったといえる。広場がまちの顔であるヨーロッパでも、街路にガラスの屋根を掛け、都市を内部化したパサージュがまちを活性化した。そうしたパサージュはいまでも生き生きとしている。日本ではそれをアーケード商店街としたが、現在ではそれがステロタイプ化してしまっていて、大規模ショッピングセンターとの競合などいろいろと問題点が指摘されるようになっている。そうした問題の根底には、人間性に根ざした横丁の精神が欠如してしまったことがあるのではなかろうか。
甦る現代の横丁とは、人間らしさが復活することであり、楽しい生活空間がつくられることでもある。それは横丁を新しくつくってもよいが、現在ある横丁の中に一軒あるいは数軒を挿入することで、横丁全体の活性化に弾みをつける仕組みも考えられよう。また南北に長く広がる日本では、それぞれの土地の気候・風土・社会によって横丁のあり方も異なってくる。そうした土地を特定し、そこに相応しい横丁を提案する視点も大切である。日本に限らず、海外のまちでの横丁を想定してもよい。加えて、二十一世紀を展望する新しいエネルギー利用、横丁における建築の内外環境と設備との関わり合いなどが提案されることを歓迎したい。それは、このコンペの特徴である「建築と設備のトータルな調和を求めて」という課題に真正面から取り組むことを期待するものであり、それをデザインと並ぶ評価軸としたいということでもある。都市活性化の身近なテーマとしての「甦る現代の横丁」を、建築と環境の両面から追求した魅力ある提案を期待している。

審査委員

審査委員長
仙田 満(東京工業大学大学院教授)
審査委員
岡部憲明(神戸芸術工科大学教授)
岡本 賢(久米設計代表取締役社長)
加藤信介(東京大学教授)
竹井秀雄(日本設計顧問)
内藤 廣(東京大学大学院教授)
大谷 勉(東京ガス執行役員・都市エネルギー事業部長)
コーディネーター
馬場璋造(建築情報システム研究所代表)
審査委員紹介

(敬称略)

※こちらのページに表記されている各委員の所属・役職は当時のものになります。

最優秀賞(1作品)

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太田英和、小菅俊太郎、斎藤洋平、永井秀幸、藤原稔、宮本勇樹(大成建設)

優秀賞(3作品)

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    美島康人、関谷和則、岩崎匠、加来真一、手塚宏治、鵜沼誠志、高木勝、石塚安重(竹中工務店)

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    野田真紅、福田裕理(HANSSMART)

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    庄司光宏、尾花隆(東京電機大学大学院)

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