入賞作品

第20回 : 温暖化地球におけるノアの箱舟

ノアの箱舟の伝説は誰しも聞いたことがあろう。旧約聖書「創世記5−29」に記されているのがその原本である。箱舟の大きさは現在の15,000トン級であったとされる。

そしてそう遠くない将来においても、人類が再びノアの箱舟を必要とする時代が来るのではないかと懸念されている。それは地球の温暖化によってである。

人間文明が排出するCO2により大気中のCO2濃度が上昇する事で、100年後には地球全体の平均温度が3.0~4.0℃上昇すると予測されている。それによる海水面の上昇は、数世紀を経ずして世界の多くの都市が海中に没する危険性をはらんでいる。ここ数年頻発する猛暑や巨大台風などの異常気象は、そうしたことへの警告と考えられる。地球温暖化のもたらす危機を、今こそ現実のものとして認識しなくてはならない。さらに地球人口の増大が問題に輪を掛けることになる。

人類は培ってきた知恵を働かせ、さまざまな技術を連携させて地球温暖化に対処していかなければならない一方、ノアの箱舟を必要とする事態にまで考えを巡らしておかなければならないのではないだろうか。

それは伝説のように種の保存のため一部だけ生き残ればよいというものではない。来るべき地球温暖化時代を如何に生き抜くか、環境・建築・設備などあらゆる技術の粋を集めて、現代版「ノアの箱舟」のあり方を考えて欲しいというのが今回の課題である。

個人、家族、コミュニティ、都市、国、地球のいずれに考えの基軸を置くかによって、つくられるべき箱舟のコンセプトも、大きさも、数も、機能も異なってくる。そのいずれが良く、いずれが悪いというのではない。そこで問われるのは人間文明の解釈であり思想なのである。どのような選択をしようとも、私たちの子孫が地球に生き残れる方策を、まだ時間的に余裕のある現在、考えてみようではないか。

今回のテーマは、建築環境デザインコンペティションの第20回を記念して行われた「課題案公募」により藤村淳一さんの応募案が選ばれたものです。

審査委員

審査委員長
伊東豊雄(伊東豊雄建築設計事務所 代表)
審査委員
鎌田元康(東京大学大学院教授)
北川原温(東京藝術大学 教授)
小嶋一浩(CAtパートナー)
中島正人(山下設計 執行役員副本社長)
中村光男(日建設計代表取締役社長)
村松映一(竹中工務店 取締役副社長)
城 雅昭(東京ガス・都市エネルギー事業部長)
コーディネーター
馬場璋造(建築情報システム研究所代表)
審査委員紹介

(敬称略)

※こちらのページに表記されている各委員の所属・役職は当時のものになります。

最優秀賞(1作品)

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伊原慶、土屋尚人、堀江晋一、関山泰忠、出口亮、中野弥

優秀賞(3作品)