入賞作品

第28回 : 植物的建築

生命体としての植物は自立している。動くことはなく、その生態は受動的であり一見弱そうにみえるが、風や雨、暑さなどにも耐えて着実に成長する。そして種子を育み、それらを独立させることで、遺伝子を伝達していく。昆虫や鳥などを遺伝子伝達の手段として巧みに利用する知恵もある。

植物は重力に逆らって土から栄養を吸収することで成長し、体内に発生する老廃物は適切に排泄して生命を保っている。冬には木の葉を枯らして落とし、本体のエネルギー消費を最小限にする。そして春になれば太陽から受ける光や熱を、自らの成長に役立てる。環境に対してダイナミックに対応することはないが、着実に環境を取り込んで成長していく。長い目でみれば、環境との対話がみごとになされているといえよう。

建築においても、古くから植物の持つ摂理を考察し、それを生かしてきた。建築が動かないことは植物と同じであり、年月とともに緩やかに変わっていくことも同じである。そして年を取った建築は古びていくが、古びることは決してマイナスだけではない。古びることで尊厳を増していくことは、伝統的な建築などに見ることができる。植物も年月を重ねることで存在感を醸し出していく。またそれは群となって環境を形成していく。生命体のダイナミズムということができるであろう。

今回の課題では、そうした植物に学んだひとつの建築のあり方、群としての建築のあり方を考えて欲しい。一本ずつの木が集まって林になり森になっていくことは、ひとつずつの建築が集まって集落になり、都市になっていくことと同じではないだろうか。無作為につくられたような林や森でも、その過程を考察していくと、そこに自然の摂理を見出すことができる。都市であっても、さまざまなモチベーションが重なり合って、都市になっていく。自然の摂理は都市のつくられ方にも働いているのである。それは、植物が林になり森になっていくのと同じではないだろうか。

植物的建築とは、広い意味で自然の摂理に基づく建築のあり方、ということができるであろう。

それは単体の建築であっても、群として都市を構成する建築であってもよい。植物が誕生し生成していく過程にならって、建築が構成されていく過程を考察し、植物的建築とは如何なるものか、そのすぐれた魅力を提案してもらいたい。

審査委員

審査委員長
古谷誠章(建築家・早稲田大学 教授)
審査委員
伊香賀俊治(慶應義塾大学 教授)
工藤和美(建築家・東洋大学 教授)
車戸城二(株式会社 竹中工務店 執行役員 設計本部長)
田中孝典(株式会社 山下設計 代表取締役社長)
西沢立衛(建築家・横浜国立大学大学院Y-GSA 教授)
野原文男(株式会社 日建設計 取締役常務執行役員 エンジニアリング部門副統括)
児山 靖(東京ガス株式会社 都市エネルギー事業部長)
コーディネーター
馬場璋造(建築評論家)
審査委員紹介

(敬称略)

※こちらのページに表記されている各委員の所属・役職は当時のものになります。

最優秀賞(1作品)

best_img01 best_img02 best_img03

西山康史、小野友麻、高岩 遊、田澤孝祐(大成建設株式会社)

優秀賞(3作品)

  • select01_img01 select02_img02

    古川香散見、今林寛晃、石原隆裕、岩井 健、内村 梓、小林 浩、武石和真 、千葉満輝、津田 誠(株式会社 山下設計)

  • select02_img01 select02_img02

    森 瞳美、伊藤 敦、坂上 優、笹原健嗣、三浦悠輔、吉川 淳(株式会社ジェイアール東日本建築設計事務所)

    詳しく見る

  • select03_img01 select03_img02

    清野 新、遠藤千尋、渡辺 薫、久木宏紀、茶谷友輔、掛本啓太、櫛引祐太(Arup)

    詳しく見る

佳作賞(10作品)

  • 佳作

    北澤 諒、鬼頭翔太郎、吉村真一、高橋祐樹、高藤千尋、新妻優輔、佐藤 琢(株式会社 竹中工務店)

    作品の全体を見るPDF(4.0MB)

  • 佳作

    松山 剛(積水ハウス株式会社)

    作品の全体を見るPDF(2.6MB)

  • 佳作

    桂 悠花、後藤祐作、丹下幸太、待鳥絢子(大成建設株式会社)

    作品の全体を見るPDF(3.2MB)

  • 佳作

    飯塚真弓(イミュノリウム)

    作品の全体を見るPDF(4.4MB)

  • 佳作

    高瀬啓文(フリーランス)

    作品の全体を見るPDF(4.0MB)

  • 佳作

    瀬尾剛史、笹崎 慎、福島北斗、加藤直樹、渡會実穂、稲葉秀行、佐藤 彰、坂東 卓(清水建設株式会社)

    作品の全体を見るPDF(3.6MB)

  • 佳作

    青木公太、久保祐輔、中橋芳貴、橋口十希、船戸麻瑠珠、山口麻佑、山口結花(株式会社ジェイアール東日本建築設計事務所)

    作品の全体を見るPDF(4.6MB)

  • 佳作

    山口琢磨(フリーランス)

    作品の全体を見るPDF(5.3MB)

  • 佳作

    高傑、張 育南、常磊、陳陽、張コウ、田浩男、劉宇(北京交通大学)

    作品の全体を見るPDF(3.9MB)

  • 佳作

    市川雅也、廣田竜介*、上辻大喜*、松崎篤洋*(立命館大学大学院/立命館大学*

    作品の全体を見るPDF(4.1MB)

審査委員長特別賞(1作品)

藤井輝夫、今井かおり*(Atelier空kuu/株式会社キャン*

選外佳作

  • 永井仙太郎、赤塚 健、西村拓真、宮本翔平、吉岡絋介(株式会社 日本設計)
  • 花岡郁哉、石井千晶、川島宏起、檜垣政弘、雨宮 聖、川原大喜、斎藤謙太、野口亮太郎、横関直樹、吉田 愛、瀧 泰裕、長谷川 愛、松尾和哉、掛 悟史 、佐々木菜穂、藤原邦彦(株式会社 竹中工務店)
  • 野田啓介(株式会社 竹中工務店)
  • 太田圭亮、中倉徹紀、山岡 馨、北潟寛史(東京大学大学院)
  • 藤井章弘、野原俊介(株式会社 松田平田設計)
  • 吉田泰洋、梁田真史、井上由之助(株式会社 竹中工務店)
  • 風間 健、柳井麻愛、佐藤拓馬、合田和弘、廣山剛士、皆川俊平、藤原 龍*(KAJIMA DESIGN/株式会社 アルモ設計*)
  • 戸谷奈貴、鈴木翔麻、鈴木智也、廣澤克典(名古屋工業大学大学院)
  • 森薗知弘、角田博由起、大森香奈、富橋直哉、長續仁志、小川健一郎(株式会社 大林組)
  • 漆迫善治、森 正夫、石原 誠、野澤未紗、木下亮佑(株式会社 佐藤総合計画)