入賞作品

第30回 : 人のこころを守る建築

最優秀賞

最優秀賞

許 偉舜、Johanna Faust*、石澤宰(株式会社 竹中工務店/*ハーバード大学デザイン大学院)

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COMMENTS

審査委員長 古谷誠章
今回の課題テーマに回答する形の提案だった。都市のインフラを公共任せにするのではなく、隣接する建築群が連担して自らが直接担おうとする姿勢が冷静でかつとても明晰な提案である。
審査委員 青木淳
国家がそのまま資本主義の論理と合体してしまっている現代という時代において、その論理から常にこぼれ落ちてしまうコミュニティを対象としているという慧眼、しかもその存続について、単に夢物語を描くことで満足するのではなく、具体的な処方箋を提供しようと努めていた。そこに住んでいる人たちが、そのままでは劣化していくその環境を改善しつつ住み続けるために、株式化するという道筋が述べられているめざましい提案であった。
審査委員 奥宮正哉
人びとがコミュニティの中での価値に気付くために、建物同士の連携を掲げ、それを実現するための技術的な方法、そして住民が主体的に進めるための「マチ株」を提案したもので、仕組みづくりにも魅力を感じました。
審査委員 工藤和美
「株式町会」という聞きなれない言葉と、相反するイメージがどう融合するのか。審査委員を触発するには十分なネタが仕込まれているように感じました。「町会」という響きが、そこに生き続けようとする人びとの「こころ」を最も漂わせている提案でありながら、株式という期待値の総和的手法も、新鮮で曖昧な可能性をもって感じられました。
審査委員 車戸城二
街区の中で、固有財産の制度として孤立する建物を互いに繋げるだけで生み出されるシェアリングエコノミー的付加価値が、株式によって経済力という駆動力を得るという、デザインが社会を豊かにしていく仕組みとしてこれまでにない秀逸なアイデアである。
審査委員 千鳥義典
利益追求の投資システム「株式」と親睦的自治組織「町会」という本来関係性のない2者を結び付け、大規模再開発と対極にある街区の隙間空間の環境改善事業に組み込んだ非凡な着想と、「マチ株」なる新奇な語に社会の現状打破への挑戦意欲が見える。それだけにステークホルダーの関係性と合意形成の仕組み、環境価値を経済価値に置き換える物差し、住民利益確保と株主への利益還元など、さらなる掘り下げがほしい。
審査委員 吉岡朝之
「マチ株」という発想が実にユニークであった。「マチ株」の概念をさらに発展させることで、これまでなかなか手のつかなかった都市の片隅での「街の再生」の可能性が広がりそうな頼もしさを感じた